専門病院での診察開始と入院宣告。健康診断で見逃され続けた肺の影。(MAC症治療記②)

前回までの流れ

こんにちは、こたろうです。
MAC症(肺非結核性抗酸菌症)という肺の病気と診断されてから約1年間治療を続けています。
このブログでは、私がMAC症と診断されてから今まで受けてきた検査や治療内容、かかった費用などを患者目線でまとめています。

前回は脇腹の痛みで病院を受診し、結核の疑いがあるということでCT検査や喀痰検査を受け、喀痰検査の検査結果待ちをしているところまでを書きましたので、今回はその続きを書いていきたいと思います。

喀痰(かくたん)検査の結果出てきた菌は…?

病院から検査の結果が出たと連絡を受けたのは初診から約3週間後のことでした。
喀痰検査は痰を採取して、その中にどのような菌が含まれているかなどを検出することが出来る検査なのですが、結果が分かるまでには早くて2週間、長いと2カ月ほどもかかる検査です。

この待ち時間というのはなかなか苦しいもので、もし結核だったら仕事はどうしようという心配や、結核ではなかった場合、レントゲンやCTで移った大きな空洞は何が原因でできたのだろうか?
などなど、いろいろな不安を感じることによってかなり寝不足気味になっていたのを覚えています。

ただ、この頃はまだ『どのような病気だったとしても結核より悪いことはないだろう。最悪2カ月くらい入院すればいいだけだ。』と心のどこかでは思っていたのです。

検査結果を聞きに病院へ行き、まず最初に伝えられたのは『結核ではないですが、結核によく似た病気です』ということでした。
喀痰検査の結果見つかったのは『肺非結核性抗酸菌症』という病気の原因となるMAC菌と言われる菌でした。

そして、肺の状態もかなり悪く、治療をしなければ命にかかわるということ、病状次第では肺の切除・摘出手術が必要になるかもしれないということ、治療には数年という長い期間を要することもこの時に伝えられました。

余命宣告をされたわけではありませんが、まさか自分の肺がそんなにもボロボロになっていて、治療をしなければ命にかかわる状態だとは信じられずかなり混乱しました。

治療は呼吸器病の専門病院で受けることに

喀痰検査の結果、肺非結核性抗酸菌症(MAC症)であるということを聞いてから、先生からはこの病気についての簡単な説明をいただきました。
先生自身も呼吸器内科の先生だったので、病気についての知識はありこれまでにも治療を行った経験はあるということでしたが、私については呼吸器の専門病院で治療を受けることを勧められました。

理由は大きく分けると2つ。
MAC症は中高年女性での症例が多い病気だが、私の場合は20代の男性という珍しいパターンで、先生も同じような患者の治療をしたことが無いということ。
軽症なら経過観察から開始する場合があるが、すぐに治療が必要だと思われる中~重症の状態で、専門病院で集中的に治療を受けた方が良いということでした。

ちなみにMAC症がどんな病気かということについては下記の記事でまとめていますので、先にそちらを読みたいという方がいましたらご覧ください。

専門病院での初診時に分かった衝撃の事実とは…?

最初に受診した病院の先生に紹介状を書いていただき、後日改めて専門病院へ行くことに。
その時に過去の健康診断で撮影した胸部エックス線検査のデータが手に入れば持参するといいということを教えていただいたので、毎年健康診断を受けていた病院へ連絡してみました。

MAC症と診断されたことを伝えると、本人への手渡しを条件としてデータをいただけることに。
この時に発生した費用は、データを書き込むためのDVDの費用、約500円だけでした。

紹介状と健康診断のデータを専門病院で提出して診察を受けた時に分かった衝撃の事実が、
『3年前の健康診断の時からすでに、MAC症が原因でできたと思われる空洞の影が写っている』
ということでした。

いただいたデータは3年前のものが一番古かったのでそれ以前の状態は分かりませんが、空洞の大きさからして5-6年前にはすでにエックス線検査で影が映る程度の空洞が出来ていたのではないかということでした。

せっかく毎年健康診断を受けていたのに、少なくとも3回も肺に写っていた影が見逃されていたのです。
私の場合は脇腹に痛みが出て受診したので発見することが出来ましたが、さらに発見が遅れていた可能性すらあります。

仮に見逃しがなく早期発見が出来ていたなら、肺の切除が必要と言われるような状態になる前には治療を開始出来ていたことでしょう

健康診断では膨大な数の画像を診断しなければいけないため見逃しが起こってしまうそうですが、複数回にわたって見逃されていたというのには愕然としました。
健康診断を受けていた医療機関の名前を出したりすることはありませんが、もう2度とその病院を受診することはありません。

もし何かしらの身体の不調を感じている方がいらっしゃいましたら、健康診断では問題がなくとも、一度病院で検査を受けてみることを強くお勧めしたいです。

MAC症の治療開始には2度の喀痰検査が必要

さて、専門病院で診察を受け画像の診断などからほぼMAC症で間違いないだろうという診断にはなりましたが、その日から治療を開始ということにはなりませんでした。

その理由として、MAC症と断定し治療を開始するためには喀痰検査を2度行い、2回ともにMAC菌が検出されることが必要だからです。

MAC菌というのは土の中や水の中など、自然界の様々な場所に存在している菌です。
そのため、喀痰検査の前に水道水を飲んだり、うがいをしていた場合、検査を受ける人の体内から出たものではない菌が混じってしまうことで稀に検査結果に悪影響を及ぼしてしまうことがあるそうです。

このような誤診の発生を防ぐために、喀痰検査で2回陽性となることが治療を開始する条件となっているそうです。

私はこの時までそのことを知らなかったので、病院のトイレで痰を取りながら『また数週間の結果待ちか…』とうんざりしてしまいました。
私のようにこの情報を知らない方がいましたら、喀痰検査は2回必要だということを覚えておいてください。
喀痰検査の結果が出るまでには早くて2週間かかります。
MAC症の疑いが出てから治療が開始できるまでには最短でも1か月以上の時間が必要になるということです。

病気の疑いが出ると早く治療したい気持ちになるのは誰でも同じだとは思いますが、この期間は短縮することは出来ません。MAC症は幸い比較的進行がが遅い病気でもあります。
気長に検査結果を待ち、その間に治療に向けて生活習慣などを見直してみるのはいかがでしょうか?

私の場合は毎日喫煙と飲酒をする習慣がありましたので、病気の診断をきっかけに両方とも辞めました。
病気になってしまったことを不運だったとは思っていますが、お酒とたばこを辞められたのは病気のおかげかなとプラスにとらえるようにしています。

2週間後に再診。つらすぎた胃液検査。

専門病院での初診から2週間後には早ければ喀痰検査の結果が出ているだろうということで、2回目の診察は初診から2週間後になりました。

私は常に痰が出ているというわけでもなかったので、より状態の良い痰を採取して検査するためにこの日は胃液検査も行うことになりました。
検査名は胃液検査と伝えられますが、目的は夜寝ている間に無意識に飲み込んでいる痰を、朝一で胃から採取するというものです。

イラストは胃カメラのものですが、同じように鼻から管を挿入して胃液を採取します。
管の先がのどのあたりに差し掛かると嘔吐反射が起き、何度も吐きそうになってなかなか管を胃まで入れることが出来ずかなり苦しい思いをしました。

私は初めは座った状態で挿管を試していたのですが、嘔吐反射が強く挿管は出来ませんでした。
いっそのこと吐いてしまえばそこから採取してくれると看護師の方が言っていたので、出してしまおうともしましたが、胃液検査を受ける場合は前日の夜から絶飲食を指示されるので出せるものも無かったようです。

結局イラストのように横向きに寝た状態で試してもらったところ、すんなりと胃まで挿管することが出来ました。
胃カメラなどで経験が無い方は、初めから横向きに寝た状態で試してみるのがおすすめです。
また、ジェル状の麻酔を管の先に塗っておくことで嘔吐反射を弱くし、挿管を楽にできる方法もあるあしいので、看護師の方にお願いしてみるのも1つの手段かと思います。

どちらにせよ本当に苦しい検査だったので、できればもう受けたくはないと思っています。

治療開始と同時に入院することを勧められる

胃液検査の後、診察を受けましたが初診時の喀痰検査の結果はまだ出ていませんでした。
ただ、1度目の喀痰検査で菌が出ていることやCT検査の状態などを見てもMAC症であることはほぼ確実ということで主治医の先生から勧められたのは、治療開始と同時に入院をすることでした。

病気と長く付き合っていく覚悟はこの時にはある程度できていたのですが、この頃には脇腹の痛みもおさまり特に自覚症状もなかった私からするとまさに青天の霹靂。
「入院!?どうして!?」といった状態でした。

理由は『アミカシン』という薬を注射する治療をすることになったのですが、通常は週に2-3回の注射で進める治療を、最初の1週間-10日間ほどは毎日投薬したほうが高い効果を期待できるからというものでした。

また、アミカシンの点滴による治療は2カ月ほど継続して行うことが想定されていたため、最適な投薬量を決めるために点滴の前後、決まった時間に血液検査を行いたい目的もあるという説明を受けました。
もちろん、少なからず副作用があることへの対策もあります。

『入院』というキーワードが出たことで、「私も入院しなきゃいけなくなるかも!?」と思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、MAC症の治療のために入院するケースというのは本当に少ないと主治医の先生も言っていましたので、可能性は低いと思ってもらっていいと思います。

ただMAC症は、病気そのものを根治出来る薬が無い病気でもあります。
MAC症の治療で使われる薬の多くは抗結核薬であり、いくつかの薬を併用することで病状の安定化を目指す治療が行われ、その治療がうまくいかなかった場合の代替策というのも多くはありません。

そのため私個人的には限られた治療方法で高い治療効果を出すことが大切になってくると考えています
もし主治医の先生に入院を提案されるようなことがあれば、なるべく入院をして集中的に治療する期間を作る方が良いと思います。

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回は呼吸器病の専門病院での初診時の出来事や健康診断では何年も肺の異常が見落とされていたことについて、入院することになった理由などを書いてきました。

繰り返しにはなりますが、健康診断では問題なしとされていても自分が体に異変を感じていたら、早めに病院での検査を受けるようにしましょう。
病気は早めに発見できた方が絶対にいいです。
私のように下手に理由をつけて受診を避けてもいいことはありません。

次回は入院中に受けた検査や治療内容をご紹介するとともに、自覚症状が無い状態で1週間以上入院したことによって感じた入院生活を快適に過ごすための方法、アイテムなどもご紹介できればと思います。

【参考 肺非結核性抗酸菌症の治療で入院される方へ:複十字病院呼吸器センター

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