はじめに
突然ですが、胸や脇腹、背中などに原因不明の痛みを感じたことはありませんか?
肺が痛いかも…?という感じ方をしている方もいるかもしれませんね。
もしかしたらその痛みの原因はMAC症(肺非結核性抗酸菌症)という肺の病気かもしれません。
MAC症とは?
MAC症とはMAC菌という菌が肺に入り込み、住み着いてしまった結果発症する肺の病気です。
健康な人の場合、MAC菌は他の菌と同じように身体の抵抗力によって体内から排除されるので発症には至りません。
ところが元々病気をしていて抵抗力が弱くなっている人や長期間の過労状態にある人など身体が弱くなっている場合は菌を排除できずに発症してしまうと考えられています。
MAC症の感染経路は?
『えっ、MAC症?聞き慣れない病名だけどどこでうつされたのかな…?』
と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、MAC症の感染経路をたどるのはほぼ不可能です。
何故かというと、MAC症の原因となるMAC菌は日常生活と関わりのある様々な場所に存在しているからです。
多くは水や土の中にいると考えられ、菌を含んだ土埃や水しぶき、湯気などを吸い込んだ結果、菌が肺の中に入り込み増殖、発症すると言われています。
ちなみに人から人へは感染しないほか、水道水の飲用も感染に影響はないと言われています。
MAC症と診断されるのは痩せ型で中年以降の女性が多いそうです。
そして、ガーデニングや長風呂好きなどMAC菌に曝露していると考えられる時間が長い習慣を持つ方が多いようですね。
しかしながら、私のように長風呂もガーデニングも日常的にはしない20代の男性がMAC症と診断される例もあります。
自分は男性だから大丈夫と思い込まずに、不安なことがあれば早めに受診するようにしましょう。
MAC症の症状は?
MAC症の初期症状としては『咳、微熱、痰、寝汗、倦怠感』などの症状が挙げられますが、重症化するまで全く症状が無い方も少なくないそうです。
病状が進行すると『息苦しさ、血痰、喀血、胸痛』などの症状も現れます。
初期症状は風邪の症状ともよく似ているので、症状が出ていても検査などを受けずに長期間見逃されている可能性もありますが、進行すると自覚症状が強くなるため、受診して発覚という例も増えるようです。
ただ、病気の進行状況によって全員同じように症状が出るわけではなく、軽症でも症状の出る方、重症でもほとんど自覚症状が無い方もいます。
症状は出ておらず、健康診断や他の体調不良時の検査の結果MAC症と診断されて初めて気づくことも少なくないようですね。
重症のまま放置すると肺や気管支が破壊され、呼吸困難状態になったり、重度の喀血による失血など命に関わる状態にもなり得ます。
MAC症で胸や脇腹が痛くなるのはなぜ?
MAC症になってしまった場合、気管支拡張が起こったり、肺の組織が壊されて空洞が出来てしまったりすることはお分かり頂けたかと思います。
しかし実際には肺には痛覚がないので、いくら空洞が出来たり、ボロボロになっていても肺それ自体に痛みを感じることはありません。
ではなぜ胸や脇腹、背中などに痛みを感じて受診した結果MAC症と診断される例があるのでしょうか?確かに肺には痛覚がありませんが、痛みがMAC症と無関係かというとそうでもありません。
MAC症によって肺の外側に近い部分に空洞が出来たりすると肺に穴が空いた状態になります。肺に穴が空いた先には何があるのかというと胸膜という肺を包む膜があります。
胸膜には痛覚があるので、肺に穴が空いてしまった結果胸膜が刺激されて痛みを感じるというメカニズムになっています。
MAC症の胸痛はどんな痛み?
私もMAC症が原因の胸痛を味わったことがありますが、常にズキズキとした痛みがあります。
呼吸と連動して息を吸ったときに特に痛みが大きくなりました。
深呼吸やあくびは激痛が走るので出来ません。途中で止まってしまいます。
呼吸のたびに痛みを感じると無意識に呼吸が浅くなり、息苦しさを感じることもありました。こういった状態になると、肺が自然に修復されるまでは痛みが続くことになりますので、痛み止めを飲むなどして対処していました。
MAC症かも?と思った方は
ここまで記事を読んでいただいた方の中には「あれっ、自分もこういう症状あるかも?」
「そういえば最近痰が出るようになったかも…」などなど、気になることが出てきた方もいるかもしれません。
少しでも気になることがあれば、早めに病院で検査を受けてみてください。
ちなみに私は初めて背中に痛みを感じた時のことをいまだに覚えています。
そして、それから毎年冬場になると脇腹や胸など、肺の周りに痛みを感じることが増えるようになりました。
ただ、病院に行くと決めた年までは自分が病気になるなんて全く想像もしていなかったために、ちょっと疲れているんだろうとか、風邪気味なのかもとか適当な理由をつけて誤魔化していました。
その期間は実に8年にもなります…。
私がMAC症と診断されたときにはもうすでに肺は空洞だらけでボロボロになっていました。
痛みを感じていた箇所は何度も穴が開いては塞がるということを繰り返していたために、肺の表皮が厚くなってしまっていました。
そんな状態でも自覚症状は殆どなく、突然感じた痛みで受診することを決めたのです。
痛みを感じる場所に空洞が出来ていなければ、病気の発見はさらに遅れていたでしょう。
さらに言えば、私は毎年健康診断を受けていました。もちろん胸部エックス線検査も受けていますが、毎年影が写っていたにもかかわらず検査結果は良好…。個人的にはもう健康診断の結果は何一つ信じられません。
さいごに
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回は胸や背中、脇腹の痛みはMAC症によるものかもしれないというテーマでした。
呼んでくれた方の中に、痛みを感じているけどまだ病院には行ってないよ。という方がいたら早めに病院で検査を受けることをおすすめします。
先延ばしにしても構いませんが、必ず検査は受けるようにしてください。
私のように何年も病院に行かず、病気が進行してから見つかり後悔してしまうような方が一人でも減るといいなと思っています。