はじめに
こんにちは、こたろうです。
みなさん毎日きちんと薬は飲んでいますか?
今まで薬を毎日飲む習慣がなかったという方は慣れないことですし、症状が重くないと尚更忘れやすくなってしまいますよね…。
逆に毎日の服薬が当たり前になってくると「飲んだ気もするけど、飲んでない気もする…どっちだっけ?」と飲んだかどうかが怪しくなってくることもあります。
健康食品やサプリメント、漢方ならまだしも、MAC症と診断された方の多くは抗菌薬と呼ばれる抗生物質を服薬していると思います。
抗菌薬は飲み忘れてしまったり、毎日ばらばらのタイミングで飲むことによるデメリットが非常に大きいです。
今回は、『飲み忘れたことによってどんな影響が出るのか?』ということと、飲み忘れないために出来る対策をご紹介したいと思います。
MAC症の薬を飲み忘れてはいけない理由
肺MAC症はMAC菌と呼ばれる細菌が肺に住み着いてしまった結果発症する病気です。
抗菌薬はこの細菌を退治するための薬です。
細菌を退治するための薬なら、飲み忘れても退治するのが少し遅くなるだけじゃないの?
こう思った方もいるかもしれませんが、抗菌薬の飲み忘れは『菌の耐性化』という、より深刻な事態を招いてしまう可能性があります。
耐性菌ってどんな菌?
抗菌薬は細菌を退治する効果を持っています。
私たちにとっては『薬』ですが、細菌にとっては『毒』ということですね。
他の生物がそうであるように、細菌も自分たちに脅威が迫っていたら生存のための方法を生み出そうとします。
生存のためにあれやこれやと対策や性質を変え、毒に耐性を持ってしまった細菌のことを『耐性菌』と呼ぶのです。
耐性化するとどうなる?
耐性化してしまった菌には抗菌薬の効果が弱くなりますが、耐性化してしまったからいきなり薬が全く効かなくなるというわけではありません。
『毒』に対して完璧な耐性を急につけられるわけでは無いので薬の効果はあるのですが、菌を退治出来るまでに時間がかかるようになってしまいます。
ざっくりしたイメージだと、耐性化していなければ1週間の服用で退治出来ていたのに、耐性化したことで退治するまでに2週間かかるようになってしまった。といった感じです。
耐性化は耐性菌の増殖を促進する
細菌が耐性化をしてしまうと、薬の効きが悪くなるというのはイメージがしやすいと思いますが、耐性化には他にも私たちにとって都合の悪いことを引き起こします。
専門用語では『選択圧』や『淘汰圧』という言葉を使うそうですが分かりにくいですね。
私たちの身体の中には元から沢山の細菌が住み着いています。
お互いにバランスを取りながら生活をしているので、一つの細菌が急激に増殖するということはあまり無いそうです。
ところが、抗菌薬によって細菌が急激に減少した結果バランスが崩れてしまい、薬に耐性を持っているために生き残った耐性菌が増殖しやすい環境になってしまうことがあるのです。
抗菌薬を飲み忘れるとどうなる?
耐性菌を退治するためには抗菌薬をしっかりと飲み続けることが必要です。
耐性菌の退治には時間がかかるので、途中で飲み忘れたりすると菌を倒しきることが出来ません。
菌を退治するために薬を飲んでいるのに、退治しきれずに耐性菌が増殖。
また飲み忘れて退治しきれずに増殖…。
完全に負のループですね。何のために薬を飲んでいるのか分かりません。
先ほども紹介した通り、抗菌薬は耐性菌が増えやすい環境を作っている可能性もあります。
その状況で飲み忘れて退治しきれないのでは、耐性菌の増殖を手伝うために薬を飲んでいるのと変わらないのでは?と個人的には思ってしまいます。
きちんと抗菌薬の効果を出し、細菌を倒しきるためにも、飲み忘れは極力起こさないことが重要です。
MAC菌の耐性化はもっと恐ろしい?
ここまでは一般的な細菌と抗菌薬の話をしてきました。
医療の発達によって抗菌薬の種類も豊富な現代においては、1つの薬の効きが悪くなったから他の薬に替える。という選択肢もあります。
ところがMAC症というのはもともとMAC症のための薬というのが現在も存在しないのが現実です。
もう一度言いますが、MAC症を完治させられる専用の薬はまだ世界に存在しません。
MAC症の治療で使われているのは、MAC菌と似ている結核菌の治療に使われている薬です。
つまりMAC症の治療は選択肢が極めて少ないのです。
選択肢がもともと少ないのに、自分の飲み忘れが原因で薬が効きづらい状況を作ってしまうなんて、そんな勿体の無いことはしたくないですね。
薬の飲み忘れを防ぐための対策
薬の飲み忘れが単なる飲み忘れで済まないことは伝わったでしょうか?
耐性菌までしっかり退治していくためには、薬を飲み忘れずに続けていくことが大切です。
ここからは飲み忘れを防ぐために出来る対策をご紹介していきます。
まずは意識を変えよう
飲み忘れをなくしていくためには、まずは自分の意識を変えていくことが何よりも大切です。
MAC症の治療には長い時間がかかりますが、人によってはあまり自覚症状や体調不良を感じていない状態で治療を受けている場合もあると思います。
症状が出ていないためにあまり深刻に考えず、薬もたびたび飲み忘れたり、もう良くなったからと自分で薬をやめてしまう人もいるようですが、MAC症はこんなにも医療が進化している現代において治療方法の無い病気です。
悪化すれば命にかかわる病気でもあります。
まずは病気のこと、薬のことをしっかりと理解して、病状を少しでも改善するために薬を忘れずに飲み続けようという意識を持てるようになりましょう。
意識が変わるだけでも飲み忘れはグッと減らせるはずです。
飲み忘れ防止グッズを活用しよう
人間は忘れ物をしやすい生き物ですよね。
意識をしっかりと持っていたつもりでも、ふとした拍子にうっかり忘れてしまったりするものです。
せっかく忘れずに飲み続けてきたのに、うっかりで飲み忘れをしないためには飲み忘れ防止グッズを使うのがおススメです。
・家にいる時間が長い方におすすめのグッズ
家にいる時間が長い方には、その日の薬を飲んだかが一目でわかる『お薬カレンダー』がおススメ。
お薬は薬局でもらってきた袋や、自分で用意したケースで管理してもいいですが、飲み忘れてしまったときに気づくことが出来ないことや、そもそも飲んだのかどうかが確実でない時に確認する手段がないことがネックになります。
お薬カレンダーを使うことで、今日飲まなければならないお薬はちゃんと飲んだのかを確認できますし、目につくところに掛けておけば飲み忘れた時に早めに気づくことが出来ます。
最近では、ホワイトボードや収納がついた多機能タイプのお薬カレンダーやインテリアになじむおしゃれなタイプのお薬カレンダーもあります。
自分のお気に入りのタイプのお薬カレンダーを探してみてください。
・外出している時間が長い方におすすめのグッズ
家にいる時間より外にいる時間の方が長いという方には、薬の管理を『ピルケース』で行い、普段から持ち歩くことをおススメします。
お薬カレンダーで管理してもいいのですが、外にいる時間の方が長い方の場合は、帰宅するまで薬を飲んだかを確認する手段が無くなってしまいます。
夜まで帰宅できないとなると、確認できるのも夜…。
飲み忘れてしまっていた場合は1回分完全にスキップしてしまうことになります。
薬を飲んだのかどうかが一日中気になってしまうのも嫌ですよね。
1週間分の薬を管理できるピルケースを持ち歩くようにすれば、外出先でも今日の分の薬を飲んだかどうか、すぐに確認することが出来ます。
飲み忘れに気づいた時も、薬を持ち歩いているのですぐに服用出来て安心ですね。
かわいいデザインのピルケースも増えてきていますし、1週間分+1日2回で分けて管理できるピルケースもあります。
持ち歩くならコンパクトな方が良いという方もいるでしょうから、お薬カレンダー同様、自分好みのピルケースを探してみるのが良いと思います。
万が一飲み忘れてしまったときは?
どんなに気を付けていても薬を飲み忘れてしまうことも起こりえます。
薬を飲み忘れてしまったとき、どんな対処をすればいいか知っておくと焦らずに対応できるのでご紹介したいと思います、
対処方法は飲み忘れに気づいたタイミングで決める
飲み忘れてしまったときの対処方法2つですが、単純なことです。
『飲み忘れた分を後から飲む』、『飲み忘れた分は飲まずにスキップする』のどちらかです。
どちらかですが、どちらにするかは自分の判断で決めるのではなく、飲み忘れに気づいたタイミングで決めましょう。
具体的には、次の服薬時間までの残り時間で決めます。
目安の時間は下記の通り。
次回の服用予定時間までに目安時間以上の時間があるなら、飲み忘れた分を気づいた時点で服用する。
目安時間以上の時間を確保できないなら忘れた分は飲まないという判断になります。
ちなみにMAC症で治療をしている方の多くは複数種類の薬を飲んでいると思いますので、1日に何回飲む薬を飲み忘れたのかによって目安時間が変わります。
例えば、『リファンピシンは1日1回の薬なので、目安時間は8時間』、『クラリスロマイシンは1日2回の薬なので、目安時間は5時間』といった具合です。
さいごに
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回はMAC症の薬を飲み忘れてはいけない理由と、飲み忘れないための対策について紹介をしてきました。
毎日の服薬はとても面倒で管理も大変ですが、地道に菌と戦い、いつか勝てる日のために飲み忘れなく服薬を続けていきたいですね。
ちなみに私は飲み忘れないためにお薬カレンダーを使っています。ピルケースも持ち歩いていますがなるべく荷物は増やしたくない性格なのでサイズはかなり小さめ。中には1回分だけ入っています。
薬をちゃんと飲んだか自信がないときは家族に連絡してお薬カレンダーをチェックしてもらっています。
過剰ではなく自分が続けられそうな範囲での対策をしていくことも大切かなと思いますので、皆様の性格やライフスタイルに合った、それぞれの飲み忘れ対策というのを実践してみてくださいね。
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