MAC症(肺非結核性抗酸菌症)の治療費はどれくらいかかる?(薬剤費編)

MAC症の治療費

こんにちは、こたろうです。

今回もMAC症の治療にかかる費用についての記事です。

MAC症と診断されたけど、治療にはどれくらいの費用がかかるんだろう…?

薬を飲むことになったけど、いくらくらいの薬なのかな?

一カ月当たりの医療費はどれくらい用意すればいいの?

MAC症と診断された方の中にはこのような心配をされている方が多くいらっしゃると思います。

前回、MAC症の治療を進めるうえで必要になる検査と、そこで発生する費用についてを記事にしましたが、今回は飲み薬や注射といった薬剤にかかる費用をご紹介したいと思います。

飲み薬

現在私が服用している飲み薬は3種類+αです。
『3種類+α』という書き方をしたのは、治療のために必ず飲まなくてはならない薬が3種類、そのほかに痛みが出た場合などに飲めるよういただいている頓服薬が数種類あるためです。

治療のために必要な飲み薬と費用

治療のために必ず毎日服用が必要となる薬として私の場合は3種類の薬を処方していただいています。
治療開始からは1年ほど経過しましたが、1年間毎日飲み続けています。

服用している薬は『リファンピシン』、『エサンブトール』、『クラリスロマイシン』という名前の薬です。
体質により、他の薬で治療をする場合もあるようですが、MAC症と診断された場合、基本的には上記の3種類の薬で治療を進めていくそうです。

「3種類も飲まなくてはいけないの!?」と思われた方もいるかもしれませんが、MAC症を根治出来る薬が無いために、有効であるとされている薬を複数種類飲まなくてはいけないという状況の様です。

一患者として、肺MAC症を根治出来る薬が一刻も早く開発されることを願うばかりです。

少し話がそれてしまいましたが、この3種類の薬は何年という単位で飲み続けていく薬なので、いわば治療のための固定費と言ってもよい費用です。

飲み薬にかかる費用

1カ月当たり『約2,500円』

私自身、治療費の中でも薬代に相当な金額がかかってくるのではないかと、かなり心配をしていましたが、飲み薬の価格は思っていたよりもはるかに少なく済んでいるという印象です。

ちなみに金額に処方箋料は加味していません。

頓服薬(痛みなどが出た時の薬)

治療に必要な飲み薬の他に不定期で処方していただいていた薬が、痛み止めと胃薬です。
痛み止めは胸の痛みが再発したときに飲めるように初回の診察の時に出していただきました。

胃薬は飲み薬での治療を始めてから、しばしば胃の不快感を感じるようになったことを相談した結果出していただけました。

費用はそれぞれ1週間分で600円ほどだったと記憶しています。

その他にも寝つきが悪くなったりしたら、寝つきをよくする薬なども処方できると主治医の先生はおっしゃっていました。
私は今のところ胃薬と痛み止めのみですが、その人が感じる不調に合わせてある程度は薬を処方することが出来るようです。

もし治療を進める中で不調を感じることがあれば、我慢せずに主治医の先生に相談してみてはいかがでしょうか?

MAC症治療の飲み薬の注意点と役に立っているアイテム

少し話はそれてしまうのですが、私が飲み薬を飲むようになってから「買ってよかった!」と思っているアイテムがありますので少し紹介させていただきます。

2つのアイテムとはズバリ『お薬カレンダー』と『ピルケース』です。
お薬カレンダーもピルケースも薬の飲み忘れを防止するために購入し、そのおかげもあって今まで薬を飲み忘れたことはありません。

MAC症の治療薬は毎日できるだけ決まった時間に飲むことが推奨されています。
それは『薬物が菌に効きにくくなってしまう、耐性化という状態を作らないため』です。
耐性化は薬を不規則なタイミングで飲んだり、何度も飲み忘れたりすることで起こりやすいと言われています。

せっかく治療をしているのだから薬が効果的な状態を長く維持したいですよね?
それにMAC症の治療方法における選択肢は決して多くはありません。耐性化してしまってからでは遅いのです。

『飲み忘れはいけない、毎日気を付けよう』と思っても所詮は人間です。
毎日当たり前の習慣のようになると、ふとした瞬間に薬を飲み忘れたり、飲んだかどうか記憶が怪しくなることだってあります。

そんな時にお薬カレンダーを部屋の目につきやすい場所に張っておき、そこで薬を管理すれば、飲み忘れていないかが一目で分かります。
私も何度も薬を飲んだか自信がなくなる日があり、買っておいて本当に良かったと思っています。

私は画像のように1週間ごとのタイプを使っていますが、毎週補充するのは正直面倒に感じることもありますので、1カ月分まとめて保管できるタイプでもよかったかなと思っています。

ピルケースは朝のむべきだった分の薬を飲み忘れて家を出てしまったときのために、1回分の薬を入れていつでも飲めるように持ち歩いています。
朝バタバタしていると、どうしても薬のことを忘れてしまうことがたまにあります。
薬を飲む生活が始まって1年経ちましたが、何度かピルケースのお世話になっています。

飲み忘れたことが確実だと自分で把握できていればいいのですが、当たり前のことになってくると飲んだのか飲んでないのかそれすらも思い出せないことがあります。
私の場合は家族に連絡してお薬カレンダーを確認してもらい、飲んでいなかった場合は持ち歩いている薬を飲むといった対処が出来ていますが、一人暮らしの方などは、帰宅するまで確認できないという状況になってしまうこともありえると思います。

そのような状況が想定できる方の場合は、1週間分を分けて保管できるようになっているピルケースもありますので、お薬カレンダーではなくピルケースで薬を管理して常に持ち歩くのも良い手段だと思います。

忘れるときはすっかり忘れているのに、忘れていたことに気づくととても不安になりますよね(笑)
一日不安な状態で過ごすのは嫌なことですし、飲み忘れなどを繰り返すことで耐性化してしまうのもとても勿体の無いことです。

それぞれの性格や生活習慣に合わせて、飲み忘れを防ぐ手段を用意しておきたいですね。

注射薬

点滴の治療で発生する費用、時間

軽症の場合は飲み薬だけで治療を進めるパターンが多いようですが、私の場合は中~重症と診断されていたため、飲み薬だけではなく『アミカシン』という薬を点滴で投薬する治療も受けていました。

入院時は毎日投薬を行い、退院後も週に3回病院へ通い点滴をしてもらっていました。
点滴にかかる時間は30分から1時間ほど。受付から会計まで含めると平均して1時間半ほどはかかっていました。

そこに通院にかかる時間も発生しますので、週に三回、約3時間以上は治療のために時間を費やす必要があったので、点滴による治療をするかしないかでは普段の生活への影響の度合いにかなりの違いが出てきます

糖尿病の治療では自身でインスリンを皮下注射する方法があり、ご存じの方も多いかと思いますが、アミカシンの場合は静脈注射で点滴を行うので必ず通院が必要になります。
自宅から医療機関までの距離にもよりますが、週に3回の通院はかなりの負担になります。

さらに通院での処置なので毎回再診料や、処置料といった費用も発生しますので、飲み薬と比べると割高な治療になります。

注射薬にかかる費用

1回あたり『約1,300円』

上記の金額は再診料や処置料を含んだ金額、つまり会計時に窓口で支払う金額です。
1回あたり1,000円ちょっとで点滴治療を受けられるのは助かりましたが、アミカシンの点滴治療は週に3回ほどのペースで受ける場合が多く、私も週に3回でした。

ですので、単純計算で月に12回とすると1カ月当たり『約15,600円』の費用が発生することになります。
通院なので交通費も馬鹿にはなりません。往復で1回1,000円だったとしても12回だと12,000円です。

交通費の金額にもよりますが、点滴治療を受けることになった場合は1カ月当たり30,000円近い費用が発生すると見ておいた方が無難だと思います。

点滴の治療を受ける期間

飲み薬もそうですが、点滴の治療を受ける期間は人によって異なります。
通常は3-4カ月くらいの期間継続して治療を行うケースが多いようですが、肝臓や腎臓への負担を考慮しながら継続する必要がある薬であることや、副作用として聴覚機能に異常が発生するケースもある薬であることから、血液検査や聴覚検査、自覚症状等によってはより短い期間で終了する場合もあります。

副作用や、肝臓、腎臓機能への影響が大きく認められない場合は最大で6カ月間継続して行う場合もあります。
ちなみに私の場合は幸いにも副作用等が無かったため、6カ月間MAXでアミカシンの点滴治療を受けました。

1回ごとの窓口での支払額は大きくはないため、そこまで費用が発生しているようには感じていませんでしたが、交通費なども加味すると、6カ月間の合計で『約18万円』という費用が点滴治療を受けるためだけに発生していたことになります。

点滴治療の豆知識

点滴の治療を受ける際には、静脈に注射針を刺してそこから薬を流し込むのですが、3回に1回くらいの頻度でうまく静脈に針が刺さらず、刺し直しをするということがありました。

点滴で使われる針は採血で使われる針と比べると細身のものですが、やはり刺すときは痛いものですから刺し直しは無い方が良いに決まっています。
また、スムーズに針をさせた時と比べると、失敗したときは内出血が起こってしまい、直径5㎝くらいの痣が1週間近く残ってしまうこともしばしば…。

週に3回の治療を受け続けることになりますので、点滴の治療を受けていた半年間は、なかなかに腕が痛々しい見た目になっていました(笑)
暑い季節にも半袖を着るのを躊躇うような日もありました。

点滴の治療の終わりが見えてきたころに、看護師の方とこんな会話をすることがありました。

看護師の方
看護師の方

もうすぐ点滴の治療が終わりだと聞きました。大変でしたね。

こたろう
こたろう

ありがとうございます。これで腕がボロボロの生活からも解放されます!

看護師の方
看護師の方

確かに内出血が多いですね。こたろうさん水分はきちんと摂っていますか?

看護師の方がどうしてそんなことを聞いたのかというと、私の血管が年齢の割にハリが無いため針を刺しづらいと感じたからだそうです。そして、水分が不足気味だと血管のハリが失われやすいのだそうです。

血管のハリなど気にしたこともなかった私でしたが、点滴には朝一で行っていたこともあり、確かに毎回水分不足の状態で点滴を受けに来ていたかもと思いました。

そのことを聞いた次の点滴の日からは朝起きてすぐにコップ1杯の水を飲むなど積極的に水分を摂るようにした結果、びっくりするくらい血管の状態が変わったのです。
注射をするために腕を圧迫すると血管が浮き出てくるので素人でもはっきりと血管の位置が分かるようになりました。

その影響もあってか注射をするときに失敗される回数というのも格段に少なくなり、痣が出来てしまうこともほとんどなくなりました。
点滴を始めるときにこのことを知っていたら、ボロボロの腕を見て悲しくなったり、服装を気にすることもなかったのにと思いました。

もしこれから点滴の治療を始める方や、すでに始めていてもこのことをご存じなかった方は、点滴の日は積極的に水分を摂るようにしてみてください。
私が極端に水分不足だけだった可能性もありますが、血管にハリがでて失敗されてしまう回数が減るかもしれません。

さいごに

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回はMAC症の治療のために飲み薬や点滴にかかる費用をメインにまとめてみました。

飲み薬だけで治療できる場合と、点滴が必要になる場合とでは、お金の面でも生活の面でも影響に大きな差があるということがお判りいただけたかと思います。

MAC症の疑いがある方は早急に治療を開始することで、飲み薬だけで治療ができることをお祈りしています。
すでに点滴治療を開始されている方、生活の影響も大きく辛くなることも多いと思いますが今が踏ん張り時です。
点滴治療は長くても6カ月。きっと治療を終えた先には良い結果が待っているはずです。
一緒に頑張りましょう。

【参考 肺非結核性抗酸菌症の治療で入院される方へ:複十字病院呼吸器センター

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